耳鳴りの漢方治療はなかなか手ごわい。耳鳴りといえば五臓の腎です。外邪でいえば風邪、そして肝風内動などです。耳で陽が騒いでいる、耳鳴りがするとき体の上方で陽が盛んになります。低音と高音で鑑別することも昔から行われています。肝は昼、腎は夜。肝にも実証の肝火上炎と虚証の肝陽上亢があります。西洋医学で耳鳴が3か月治らないと電話が受付にかかってきたらしい。漢方薬で治療をしたいのですがゆっくりお話を聞いていただけますかといわれました。漢方診療を精神科と勘違いしているようです。精神科や心療内科を標榜すると長時間話を聞くと診察料金が高く算定できる。とにかく長い時間医師の前で話して共感を得たいという患者さんがいるのは間違いない、前の人が長いと私も待ったから長い時間話をしようと悪循環に陥る。これは心療内科へ行くべき病態です。精神科や心療内科へ行く人が口が渇くといえば西洋薬を見直す必要がある。心療内科の薬における口渇は向精神薬の抗コリン作用です。ここで漢方薬を処方するとどんどん悪くなる。