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補中益気湯

補中益気湯は中気下陥の処方です。気機下陥は臓腑の機能低下と内臓下垂を特徴としています。中焦のみならず全身の薬とされています。上焦の症状はため息、息切れ、中焦の症状は軟便、食欲不振,下焦の症状は大便と小便の異常です。「精神差」とは中国語で元気がないことです。脾胃は後天の本といわれます。疲れたとき熱をだすのが気虚発熱です。気虚発熱には補中益気湯がもちいられます。補中益気湯のおおもとは気虚の基本処方である四君子湯をもとにして六君子湯は二陳湯と四君子湯を合わせた処方です。四君子湯は補気の基本処方です。補中益気湯は補気するとともに当帰は補血します。升麻、黄耆、柴胡でモノを持ち上げます。気を上昇させます。補中益気湯で胃もたれするかどうかですが。上へあがりすぎると胃もたれします。六君子湯は理気化痰、降逆化痰です。下向きのベクトルです。補中益気湯は上向きのベクトルです。

陸先生と胆

五臓六府の一つに胆がある。なかなか胆を理解することは難しい。陸希先生のち密な理論はすばらしい。胆の生理機能は胆汁を貯蔵する。昇発する。決断勇キョをつかさどる。勇キョとは肝っ玉が小さい事のようです。胆は昇発作用がありようを登らせる。12臓腑は2時間ずつ受け持つ。胆は23時から午前1時の時間です。肝は謀慮をつかさどる。胆は決断をつかさどる。いろいろ考え決断するのは胆です。昇発は全身の陽が動き出す。勇㰦は「勇敢」「おびえる」という意味です。色々な中医学の教科書を読んでも胆についての記載は少ない。なかなか胆は難しい。肝と胆の区別はなかなか難しい。「胆汁を貯蔵する」とは胆汁をコントロールすることです。西洋医学では単に蓄えるだけです。胆汁は消化液の一つです。消化作用を表すのが西洋医学です。東洋医学では精微物質の一つが胆汁です。胆汁により昇発する。ここが難しい。気が動くには陰陽のバランスが必要です。西洋医学の胆汁は胆のうから十二指腸へ下向きに流れます。東洋医学では上向きに昇発する。

東洋医学の膀胱

東洋医学では腎と膀胱の区別はあまりしない。わかりやすく言うと尿を作るのは腎、腎と腎臓は異なります。現代医学の腎臓に副腎の働きを加えたものを腎と呼びます。つまり泌尿器・生殖器・内分泌系を含めた働きを東洋医学では腎といいます。尿の基本は腎です。尿を排泄するのが膀胱です。膀胱の症状とは尿頻数、隆閉、尿意速迫があります。膀胱気虚を聞いたことはおありですか?膀胱気虚の症状は開合ができない。膀胱が尿の貯蔵ができない。分かりやすく言い換えると排泄ができない。尿の貯蔵ができない。

貧血は血虚か

貧血は血虚か?漢字のとおり考えると貧血は血虚です。書物にも貧血は血虚と記載するものもあります。しかし、必ずしも貧血は血虚ではありません。貧血に四物湯を処方すると貧血が改善するか?きっとしません。極論でいえばしんどい、元気がない等の症状は気虚に近い症状です。血虚は循環血液量の不足です。もっと探ってゆくと舌診にたどり着く。気虚の舌診は舌が畔大になります。血虚の舌診は淡白色になります。貧血では瞼結膜は白くなります。詳しく言うと淡紅色から淡白色へと変化します。脈診では気虚なら弱、血虚なら細になります。赤い液体である血液は気がないと全身を循環しません。赤い液だけでは固まってしまいます。

三焦

五臓六府には五臓と六府があります。六府の中で理解しにくいものに三焦があります。三焦は西洋医学にはない概念です。いろいろな三焦が考えられている。人間の体を包む膜様組織という考え方。三焦には衛気や津液、陰陽が流れています。へちまに例えられることがあります。水道のことを三焦とする説もあります。体お位置を表す三焦つまり上焦、中焦、下焦を合わせ三焦と呼ぶ考え方もあります。温病学の弁証に用います。三焦の働きには通行衛気、伝送陰陽そして津液を伝輸する作用があります。気、陰陽、津液の通り道です。これが薬の処方にどうつながるか?よくわかりません。しかし、弁証を考えると三焦通利という中医学のことばもあります。