奈良県立の病院勤務の産婦人科医の「宿日直」が時間外労働に当たるという大阪高裁判決が最高裁不受理という形で幕を下ろした。最高裁不受理の判決が日本の急性期医療に及ぼす影響は大きいと考えられます。つまり、最高裁不受理を受けて現在コンビニのように患者さんを受け入れている救急病院の宿日直には時間外手当を支給する必要を生じるからです。奉仕の精神や自分のスキルアップのためという考えが通用しなくなり医師も労働者という考えのもと労働基準監督署が動く可能性があるからです。宿日直の手当てでなく、平素の基本給の1.5倍とか1.25倍という時給計算が必要になります。医師の宿日直は過酷です。そして平日の昼間と同じ医療を求められる。朝8時から翌日の午後6時までぶっ通し勤務です。救急救命センターの方がむしろ楽です。宿日直は以前このブログでも取り上げました通り軽作業です。速達が来たから受け取る。患者さんの情報に関する照会が来たから答える。宿日直は現実には平常の外来をしているのと変わりません。宿日直の勤務を時間外勤務にするならよほどの診療報酬アップがないと救急医療は採算が合わないでしょう。