記事一覧

奔豚気病

奔豚気の話が仙頭正四郎先生の最近の講演のなかで頻回に登場している。違う演者の講演会で聴いた呉茱萸湯と苓桂朮甘湯を合わせた処方を行って患者さんから好評です。これは金匱要略ではない方の奔豚湯の方意を表している。ヒステリーとかパニックとか五臓の中の腎から上向きに突き上げるような状態が奔豚だそうです。苓桂朮甘湯と五苓散の違いというのはよく話題になる、五苓散には猪苓が入っている、排尿には猪苓が重要である。苓桂朮甘湯には猪苓が入ってない。しかも陰を増やす甘草が苓桂朮甘湯には配合されている。すなわち猪苓湯や五苓散と比べ利尿するという意図がないのが苓桂朮甘湯と考える。漢方薬にしかない醍醐味がホントンには秘められている。桂皮の引火起源の働きで下げる、呉茱萸で下げる、大黄で気を下げるベクトルを下向きにする生薬はたくさんある。

エキス漢方ZtoAに行ってきました

とても良い天気が続き今週木曜日には桜が咲く東京です。前日夜中央線が停電のため止まっていました。飯田橋は地下鉄が動いていたら何とかなるさあ。東京飯田橋で行われたエキス漢方ZtoAに参加してきました。柴胡の話がテーマでした。柴胡は日本で多く用いられる生薬です。柴胡桂枝湯と柴胡桂枝乾姜湯は乾姜以外生薬が同じ方剤ではないかと思わせるネーミングです。しかし中焦から下焦を温める環境が入っていることをはじめ全く別の方剤です。柴胡桂枝乾姜湯には瓜呂根が入っている、瓜呂根は生津作用、瓜呂仁は潤肺。瓜呂仁は柴胡剤の柴陥湯に入っている。瓜呂根は肝鬱化熱の熱をさばくために配合されている。そして加味逍遥散と比較されることがあるように安心作用の牡蛎が入っている。牡蛎は肝と心の熱をさばく。桂皮は引火起源そして通経通絡を期待している。乾姜は脾揚を膨らませる。つまり中焦を温める。なんかよくわからない。前回聞いたときはわかった気がしたのにねえ。柴胡がたくさん入っているから柴胡桂枝乾姜湯は優しい薬でないことは確か。仙頭正四郎先生を追いかけ先週は浜松市、今週は飯田橋来週はどこに行こう。

その睡眠薬本当に大丈夫ですか

非ベンゾジアゼピンのマイスリー、アモバン、ルネスタも3月いっぱいで規制が強化される。私は日医カリキュラムコード20と69の講演を何回も受講しているがどこで開催されても毎年日医生涯教育講座20と69を毎年受講しないといけないから大変です。特に勤務医の医師にとっては自分の患者さんのために関心がない不眠や不安の勉強をしなければベンゾジアゼピンや非ベンゾジアゼピンの薬が処方できないというのは大変な時代が来たものです。今年度つまり3月最後の20と69の講演会に参加させてもらった。新幹線代の往復を考えると無駄なお金を使ったともいえる。非ベンゾジアゼピンは良い薬の医師も多いと思う。精神科リエゾンチームの考え方するとせん妄医療安全の考えから見ると転倒が危険ということです。昔の磯見タールのようなバルビツール酸誘導体のように自殺はできないがマイスリーアモバンのような非ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤を服用すると認知症になるというのに多くの患者さんが服用している現状に国が大きく舵を切るのが診療報酬改定です、ベルソムラやロゼレムだけでみんなが睡眠できたらよい世の中が来る。

ZDRUGは優しくない

非ベンゾジアゼピンの睡眠薬のことをZDRUGと呼ぶようになっている理由はゾピクロン、ゾルピデム、エスゾピクロンとゾつまりZの文字が入るからだそうです。安全・安心とされた非ベンゾジアゼピンの睡眠薬は認知症を引き起こすという論文が増えているそうです。ベンゾジアゼピンと非ベンゾジアゼピンつまりZdrugでは従来はベンゾジアゼピンが悪い薬でそんな古い薬を飲まずに新しいのを出しておきましょうとかなんとかZdrugをよい薬とする話しが多かった。Zdrugでも依存耐性そして認知症になるようだ。そしたら効かないといっていた漢方薬やラメルテオンにすがるしかなくなるかもしれない。とにかく、そばを食べてアナフィラキシーショックで命を落とすことがある時代、この薬あれないでしょうね?あれって何ですか?副作用、そんなものない薬がない。副作用はサプリメントのような食品でも起こりうる。睡眠導入剤を副作用がないと思って飲むのがおかしいわけだが依存や耐性の話をしてもご存じない方が多すぎる。効く薬には副作用がある。効かない薬出して仕方ないやろといわれるが効く薬はみんな怖い。特に眠る薬を飲んで認知症になるのは嫌だ。水商売からスーパーのレジの仕事に変わった方がおっしゃっていました。睡眠薬なしで眠れるようになってよかった。アルコールは睡眠薬と同じGABA受容体に作用する。

朮はどちらがよいか

私のところへは兵庫県西部の漢方に熱心な患者さんがお越しになる。以前からお越しの冷え性の患者さんがリーデングカンパニーの当帰芍薬散と武田薬品工業のOTC製品と飲み比べたら武田薬品の当帰芍薬散がむくみに有効だから白朮の当帰芍薬散のメーカーにしてほしいといわれた。当帰芍薬散は半分五苓散、半分四物湯とも解釈できる処方です。古典には朮との記載があり、白朮か蒼朮かはメーカーで決めている。どちらかといえば蒼朮は利水薬、白朮は補気薬です。今日の患者さんは白朮で補気ができたので利水してむくみが解消したようだ。普通は蒼朮が直接利水してむくみが解消する。最近聞いた仙頭正四郎先生の講演で当帰芍薬散にはそんなに温める生薬は配合されない。確かに乾姜や附子は入っていません。なのに冷え性に当帰芍薬散は効くか。私は思う、冷え性にフルーツは良くないという、水分が果物には非常に多い。水の停滞が冷えを招く。とうき芍薬せんきゅうの中で芍薬は微寒で少し冷やす。せんきゅうは血を上にあげる、当帰は活血する。毎日漢方尽くしです。