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腹診よりも問診重視

本来は漢方薬を処方するには望聞問切の四診が中医学では基本とされています。日本の漢方は腹診で処方が決まる、しかしおなか以外の病気で本当に腹診が決まるかはなはだ疑問です。儒教の教えか中医学では肌を見せる腹診を行わない。問診が大切です。脈診は難しい。時間がかかり保険診療になじまない。腎虚ではやる気が続かない、脾気虚はやる気が続かない、肝鬱はやりだしたらやる、心血虚はやるかどうか決められない、肺気虚はやるにはやるがすぐつかれる。問診票を用いてこちらが効きたいことを聞くそして相手が述べたいことも効く、問診で純粋な体質を見分けるのは無理がある。虚弱には貧血、ほてり、冷え、息切れがあればそれぞれ血虚、陰虚、陽虚、気虚となります。邪が体にたまると実証です、気が滞る気滞、血が滞る血瘀、不用の液が滞ると日本漢方では水滞といいますが中医学では痰飲といいます。普通の眼科と思って診察に来られた女性も男性の患者さんが切れることがある。眼科に関係ない話をすると遊んでいるように思われるようです。問診が一番漢方薬の処方には重要です。昨日は花見をしました。

細絡

女性を診たら妊娠を疑えとは西洋医学の鉄則です。東洋医学では女性を診たら血瘀を疑います。最近ズホンでは無理ですがスカート履いた漢方薬を飲んでいる女性の患者さんの膝を見ると結構な頻度で細絡を見つけます。おそらく大腿部にはかなりの頻度細絡がみられるのでしょう。舌下静脈の怒張蛇行や紫舌などが血瘀の所見です。紫色はなかなか改善しません、しかし舌下静脈の怒張蛇行は改善します。皆さん手鏡で舌下静脈の怒張蛇行について指導しておくと改善したと教えてくださいます。血瘀では痛みを訴えることが多いです、代表は生理痛です。血瘀は夜間に痛みが強くなります、動くと悪くなります。虚按というのは実証のサインです。虚証では喜按です。血瘀は実証です。血瘀の原因にはには気虚、気滞、血熱,寒凝があります。さいらくは刺絡といい針を刺すことで瘀血を出すあるいは吸玉という治療法も行われています。後が残ります。地竜って何かわかりますか?ミミズです、水蛭は蒜です。地面をはうのがミミズや蒜です。瘀血を吸い取ってくれます。瘀血は日本の漢方中医学では血瘀、あるいは病理産物を瘀血と言います。

血瘀と気

気血水といえば日本漢方です、気血津液弁証は中医学です。日本の漢方では瘀血と言いますが中医学では血瘀といいます。血瘀は生活習慣病のどろどろな血液をさす場合と子宮筋腫などのできものも血瘀と呼びます。瘀血顔〔おけつかお〕という表現を聞かれたことはありますか?細絡がみられる顔です、細絡は全身に見られ足にも見られます、私には女性の足を見ることは不可能です。四診合参といいますがなかなか難しい。血瘀のひとでは舌を診ると紫色であったり瘀点・瘀斑がみられます、さらに下の裏側を見ると舌下静脈の怒張があれば血瘀です。日本漢方か中医学かの鑑別として水があります。水はすいと読みます。中医学では正常な液体を津液〔しんえき〕と読みます、痰飲とか湿と呼びます。みずという用語を使う医療従事者は日本漢方です。貧血は血だけの異常でしょうか?赤い液体である血があっても廻らなければ意味がありません。酸素は赤血球という車に乗っかって全身を巡ります。貧血は気血両虚です、単なる血虚ではありません。四物湯だけ服用しても血虚は改善しません。気虚の基本処方は四君子湯です。有名な三谷和男先生が10年以上前に講演会で四君子湯を単独で用いて有効だった経験ある?と聞かれました。私はありませんとお答えいたしました、足りない気を補うだけではだめで二陳湯で気を巡らせる必要があるそうです。要するに仙頭先生が言われるように物質だけが存在しても意味がないと思います。今日は書写の夜桜見物によるは家族で行きます。珍しく誘われて参加する気になりました。

漢方薬のDVD

4月から新しいシリーズの関西系統中医学講座が始まる。関西系統中医学講座のDVD一本5000円で東京の系統中医学講座を録画したものを販売しています。プロが作成したDVDを販売してる、遠方の人はきっと満足しているでしょう。最近最大手の漢方薬のメーカーがDVDを配布しなくなった、なかなか著作権がむずかしいらしい。今までは既得権でいただけたらしい。自身が参加しものだけいただけるらしい。なかなか難しい時代です。大手一社だけがDVDを配らなくなれば他社はどうするのでしょう。他社のMRさんもこのブログは当然お読みいただいています。大手に追随するのが世の流れです。姫路から阪神間へ行くのは大変です。東京へ行くのもしんどくなってきました。3時間のDVDが5千円なら安いものです、一方西洋医学の世界はといえばWEBでいくらでも講演会が配信される。場合によっては放送権を買い取っているそうです。WEBも進んでいる会社は再放送をしたり、ホームページから半永遠に診ることができるようになっている。会場に行ってみる或いは聞く講演会は減りつつある。浮いたお金は開発費に使ってほしい。

出来たら錠剤かカプセルを

花粉症で漢方薬を取りに来られる人が増える時期です。ちょっと漢方専門医を誇示しようと越婢加朮湯を処方すると苦いまずいと評判が悪い。麻杏甘石湯や五虎湯、清上防風湯など色々漢方専門医しか使わないあるいは温病学の考えを取り入れた処方をもうちょっと暖かくなると春温と弁証のうえ使ってみるが案外バカチョンカメラで小青龍湯を処方した方した方がうまくゆくことがある。小青竜湯は構成生薬が多くマイルドなので万人向けなんでしょう。小青竜湯と麻黄附子細辛湯で小青龍湯加附子を錠剤とカプセルで処方できます。小青竜湯加杏仁石膏は小青龍湯錠と五虎湯の錠剤で対応できる。花粉症今年は軽い。漢方単独でも行けそうな状況です。人の不幸で生きてゆく医療です。花粉飛散は十年は減らない。スギの植樹から丁度樹木が成熟する時期を迎えています。今年は花粉症の裏年です。目が赤くなっている人が少ない。今日もいつも同様暇だった。漢方薬は眠たくならない。麻黄が入っており覚醒作用がある。デイレグラも今年は結構使っている。目があかい人が少ないのはわつぃのクリニックだけでしょうか?

漢方咳止めトローチS

漢方咳止めトローチS麦門冬湯というのをいただきました。漢方咳止めトローチSは今すぐ爆発しないが将来漢方薬が逆ザヤとなり保険診療で給付されなくなったら売れる製品です。麦門冬湯はエキス顆粒でも甘い味の漢方薬でお子さんでも服用できます。漢方薬がいつまで保険適応かは誰もわからない。現在の薬価制度から行くとそのうち漢方薬はうがい薬やビタミン剤とともに消えゆくかもしれません。すでに生薬高騰で赤字の生薬が増えています。しわがれ声、切れにくい痰、強いせきこみに用いる薬です。漢方薬のトローチって珍しい。トローチは口の中でなめたらなめるほど徐々にうるおしてくれます。金匱要略には大気上逆の咳に用いると書いてあります。大気上逆の咳とはどのような咳でしょうか?真っ赤な顔をして咳混む状態です。大気上逆の咳とは気が上昇して苦しく、のどが詰まったようになる状態です、咽喉不利、逆を止め気を下すもの麦門冬湯これをつかさどるが条文です。麦門冬湯になぜ生姜が含まれていないか?不思議に思った方はおられませんか?漢方を初めてしばらくして不思議に思いました。麦門冬と半夏は反佐です。潤す大棗乾かす生姜で反佐をダブルに必要とはいらないということでしょう。

しょうばく

小麦はイネ科の越年草です。小麦は心陰を増加させます。そこで心の虚熱を冷まします。更には汗を減らします。そして心気を増加させます。しん甘麦大棗湯は小麦、大棗つまりナツメ、甘草の3つの生薬からなります。なぜこれが薬か?さっぱりわからないけど意外と効くんです。甘麦大棗湯は潤し下降と軽度の収斂という方向性の漢方薬です。しょうばくってきかれて小麦を思い浮かべるのは漢方通です。ただ単に読み方を変えただけです。アレルギー時代に小麦は悪者です食物アレルギーを思い起こす悪者です。帰経は心です。つまりヒステリーや夜泣きに使えます。効能は安伸、清虚熱、止汗などです。自汗や寝汗には浮小麦がよいそうです。ぼれいつまりカキの貝殻、オウギ、麻黄根を配合して煎じや刻みとして牡蠣散として処方します。甘草は西洋役でいうと強力ネオミノファーゲンCやグリチロンと同じグリチルリチン製剤です。甘草は大量投与で浮腫、血圧上昇がみられることがある。しょうばくつまり小麦ははしんつまり心の虚熱を冷まし止汗します。最近意外と子供さんに人気です。

コムロン

コタローの技術は高い。芍薬甘草湯をコムロンとして一日3錠まで減らした。芍薬甘草湯のカプレットそれがコムロンです。コムロンは痛みのファーストチョイスです。こむら返りはもちろん腰痛、手足の疼痛、胆石や尿管結石、胃痙攣、生理痛などに応用できます。腰弱癒えてつえを捨てることができるという意味で去杖湯ともいいます。漢方の錠剤といえば一日18錠や27錠ととんでもない量です、芍薬甘草湯は鎮痙鎮痛の基本処方です。不作用としては浮腫や血圧上昇です。芍薬甘草湯の甘草は痛みの薬です。甘草等という漢方エキス製剤もあります。芍薬は血の薬で補血します。甘草は急迫を治する薬です、肝機能障害心不全、頻拍、偽アルドステロン症に用いることができます。ビタミン剤や漢方薬は保険適応から外れるかもしれません、すでに栄養補給目的のビタミン剤の処方は保険適応外です、しかし夏になるとビタミン剤でももらえませんかという人は多い。お迎えのドラッグストアで買ってくださいということにしています。漢方が保険適応から外れたらコムロンは売れるでしょう。一錠100円です。原料費の値上がり、中国依存による人件費の高騰、現在の診療報酬改定制度ではどんどん薬価がさがる。漢方エキス製剤はいつまで保険で処方できるのでしょうか。

気血双補薬

漢方エキス製剤で気と血の両方を補う薬を気血双補剤と言います。いわば元気を出す薬です。貧血には血が不足しているから四物湯を服用したらどうなるか?胃があれるだけです。十全大補湯、帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯が気血双補の薬です。四君子湯で補気と四物湯で補血します。人参養栄湯には川芎が含まれていません。昔は肺結核が多かった。川芎には補血と活血の両方の作用があります、活血すると結核の方が喀血する時大量に喀血してしまうことを恐れたのではないかと大昔に聞きました。帰脾湯に柴胡と山梔子を加えて加味帰脾湯です。柴胡も山梔子も冷やしてかつ乾燥させます。柴胡は昇発性であおります、進士氏は上昇の熱つまりイライラや顔が赤い等を解決します、帰脾湯にはこころを落ち着かせる安神薬に属する生薬が含まれています。十全大補湯には四物湯と四君子湯に桂皮と黄耆が含まれています、経費と黄耆はともに温性です。日本漢方のクケツもよいが構成生薬を改めて見直すといろいろなことが見えてくる。なかなか理論どうりにはゆきません。

ヨクイニン

ヨクイニンは皮膚科で頻用されている薬です。錠剤と粉末があります、エキス散とエキス錠があります。妊婦、産婦、授乳婦に対する安全性は確立されていません。ヨクイニンといえば優しい薬のイメージがあります。ヨクイニン湯は当帰や芍薬の配合されたエキス製剤で関節痛ヨクイニンとは全く違うものです。疣贅にはウイルス性のものとウイルス感染とは関係ないものがあります。みずいぼは伝染性軟属腫ウイルスです。尋常性疣贅は子宮頸がんや尖圭コンジローマでおなじみのHPVの感染です。確かに尖圭コンジローマとイボは似ています。ところでなぜヨクイニンは妊婦に使えないのでしょうか?おそらくイボが取れるということは免疫反応で異物と認識する作用機序が関与しています。すると、胎児も異物として認識して流産リスクを高めることが考えられます。
小太郎漢方製薬にしかないユニークな処方に腸廱湯があります、この腸廱湯にもヨクイニンが入っています。瘀血と痰飲の生薬が配合された面白い処方です。病名漢方もよいが構成生薬から応用してこそ初めて漢方が面白くなります。