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プソイドエフェドリンと麻黄

デイレグラ配合錠はフェキソフェナジンとプソイドエフェドリンの配合剤です。麻黄にはエフェドリンが含まれています。エフェドリンには覚せい作用があります。エフェドリンにもトゥル―エフェドリンとプソイドエフェドリンがあります。プソイドエフェドリンはシュウドエフェドリンとも呼ばれます。プソイドエフェドリンは漢方薬の世界では有名でしたが西洋薬の世界では日陰の存在でした。米国では抗アレルギー薬とプソイドエフェドリンの合剤が多く使われているという日本語の論文を目にしました。世界で通用する抗アレルギー薬はデイレグラに用いられているフェキソフェナジンとロラタジンです。世界に通用する抗アレルギー薬のロラタジンと漢方薬の小青龍湯を併用したら鼻閉と睡眠の質が向上したという論文です。2007年の論文ですがその時の記載内容で鼻閉にエフェドリンすなわち麻黄が有効なことがわかります。フェキソフェナジンはスイッチOTCのアレグラのことです。ロラタジンはクラリチンのことです。スギ花粉の根本治療は減感作療法であると思いますが昨日季節前投与を希望する方が今年はじめて来られました。季節前投与は有効とする論文があれば有意差なしの論文もあります。

漢方のやせ薬

漢方薬で痩せたい。そんな思いを持つ方は多い。漢方薬で痩せることは無理であると思いながら書いてます。「漢方なら優しい無理のない痩せ方ができる。「そう思っておられる方は多いと思います。防風通聖散はOTCでは和漢箋という名前で発売しています。OTC薬として多くの方が買われたことがあるはずです。固太りに防風通聖散、水太りに防已黄耆湯というキャッチコピーがあります。本当にやせるでしょうか?もう何年も防風通聖散をお飲みになっている方に聞きました。防風通聖散を飲むと胃腸の調子が良いので続けています。防風通聖散は本当は汗、大便、小便を排出することで体調を改善する薬ではないでしょうか?一貫堂体質分類では防風通聖散は臓毒体質の薬です。汗、大便、小便から毒を排出する薬です。防已黄耆湯は黄耆が君薬です。黄耆は人参と同じ補気作用があります。しかし、人参と異なり固表止汗作用がある汗をコントロールします。さらに人参と異なり利水作用があり水分を排泄します。防風通聖散大黄・麻黄わずかに配合されているのがみそです。漢方薬のつくられた時代には食べ物がない不足した時代に作られた方剤が多い。漢方薬に痩せる働きを期待するには無理がある。麻黄は新陳代謝を促進する。麻黄は覚醒剤みたいなものです。摂りすぎはいけない。もうのかわりの生薬はない。1gの麻黄が防風通聖散を引き立てる。

芎帰調血飲第一加減エキス

小太郎漢方には「匙倶楽部」というものがあることを知る人は少ないでしょう。「コタロー匙倶楽部」には保険適応でない処方がいっぱいあります。煎じるのは大変という患者さんが多い。「太虎堂の芎帰調血飲」補血活血だけではなく香附子、烏薬、益母草は他のエキス製剤にはあまり配合されていません。烏薬と香附子で気の巡りを改善しその気が血、津液の巡りを改善します。芎帰調血飲第一加減は保険適応の「太虎堂の芎帰調血飲」の加減法です。芎帰調血飲には気の巡りと血の巡りを改善させる生薬が多く含まれています。芎帰調血飲に入っていない生薬は桃仁、紅花,牛膝で活血、桂皮と芍薬で調和営衛、枳実、木香、延胡索で理気止痛です芎帰調血飲も芎帰調血飲第一加減も産後や女性の漢方薬です。肝腎陰虚、気滞化熱、血瘀の体質に痰飲など余分な質がたまっている錠他の改善に用いる処方です。過食、ストレス社会、過労、夜型生活、睡眠不足などの女性にぴったりとされています。冷え症と言ってもいろいろです。ストレスで気が廻らず熱がめぐっていない可能性があります。どうも日本人は上熱下寒が多い。冷えたストレスに芎帰調血飲および芎帰調血飲第一加減エキスが使えそうです。

蓄膿症と漢方薬

中医学では鼻淵といいます。蓄膿症の症状には黄緑色の鼻が出る膿性鼻汁、後ろに鼻が出る後鼻漏、鼻閉、匂いが分からない嗅覚障害さらには顔が痛いさらには眼窩蜂窩織炎を引き起こす。冬になると顔がまた痛くなったいう人がいる。外科的治療と漢方薬以外にはマクロライド系抗生物質の長期少量療法もありますが最近のマイコプラズマ肺炎の流行で分かったことはマイコプラズマにマクロライドが効きにくくなっていることです。原因としては風熱の邪や風寒の邪が入る。普通の風邪との違いは臓器特異性でないだろうか。鼻という臓器に特異的に邪が入ることです。西洋医学ではのどからウイルスが入ると考えるのが普通ではなかろうか?傷寒論では何と首の後ろからウイルスが入ると考えたからすごい。あと出てきた温病学は口からウイルスが入ると考えた。より西洋医学に近い発想です。風腑や風池から者が侵入するなんて思いつかない。風熱と風寒の症状の差は何か?最初ぞくぞくするのが風寒です。最初から熱いのが風温や温病における邪です。ぞくぞくすることを漢方薬の世界では悪寒といいます。慢性化することを化熱といいます。蓄膿症に対し耳鼻科の中では処置が大きな位置づけだそうです。上顎洞や篩骨洞など副鼻腔の出口が炎症やそれに伴う浮腫で詰まることが蓄膿である。処置で治るのが市番だと思います。されど漢方薬も捨てがたい領域です。

副鼻腔炎の漢方治療

冬になると顔がいたとか鼻づまりなど蓄膿つまり副鼻腔炎の症状が増える。副鼻腔炎つまり鼻づまりにはに漢方薬は有効です。西洋薬は鼻閉はなかなか改善しません。漢方では瘀血を痛みの主体として不通即痛という考え方があります。川芎・辛夷という二味の薬徴が有ります。辛夷は鼻づまりの専薬です。川芎は「血中の気薬」といいます。川芎はその活血作用で血と気を巡らせます。「ワンエアウェイ ワンディジーズ」というのが今の喘息のキャッチコピーです。呼吸にかかわるのは一つの道という考え方です。鼻の病気と気管支喘息による気道狭窄は一つの病気であるという考え方です。モンテルカストやプランルカストという薬とともに発達した考えか方です。喘息に用いる漢方薬を用いて鼻炎や副鼻腔炎はうまくいくことが多い。勉強不足の薬剤師さんの調剤薬局へ行くとおかしいといわれてしまう。処方箋で薬を出す以上院内で丁寧に説明してしまうことも一つであるがなかなか言い出しにくい方も多いようです。薬すべてを説明することができるというのは無理なようです。石膏・知母で抗炎症作用を期待することも大切です。杏仁・石膏や麻黄・石膏の生薬が入った漢方薬で肺の粛降作用を期待することも大切です。

漢方薬と月経・頭痛

東洋医学で月経痛を治療しているひとは少なくない。ロキソプロフェンはプロドラッグです。胃腸にやさしいはずですが服用して胃腸障害を起こす人もいる。ロキソプロフェンが飲めるなら問題ない。何にも考えない漢方薬なら芍薬甘草湯です。体質と痛みの時期を知らべると次のようになります。気滞では月経前に痛みが強い。つまり月経前緊張症という状態が多い。下腹部に気滞による瘀血がたまっていると考えます。瘀血の体質では月経中の痛みが強くなります。そして三日ぐらい経つと痛みは減ります。月経血として瘀血が体内から出て行ったと考えます。血虚では月経後に痛みが強くなります。月経により血液を失うからです。気血両虚の状態になります。ここから先の考え方は以前述べた漢方周期療法をおすすめします。その他、月経と関係するものとして頭痛があります。排卵日や月経初日前後でエストロゲンの急激な変化が変動時には偏頭痛の頻度が高くなるとされています。

冷え症と漢方的診断

冷え症は温まると解消するでしょうか?必ずしもそうとは言えません。陽虚による冷えはあたためればよい。しかし、陰や血の不足による代償的な偏在があります。偏在といえば兵庫県の中でも医師は偏在しています。例えて言うと南の東に多く、北へ行くと少ない。体の中の熱も偏在します。手足だけが冷える方、体全体が冷える方などいろいろおられます。気滞による気の偏在もあります。気の滞りによるものは上焦のほてりや裏のうつ熱の症候です。つまり、体の一部だけが冷える冷え症もあります。体表だけが冷えているのか体の芯まで冷えているのか見分けるのが難しいです。だから、舌診とか脈診も併用します。不問診というのがあるそうですがどうやって診るのでしょうか?

保険で使える眼科漢方

保険で使える眼科の病名や症状がある漢方薬をさらに調べてみました。老人の霞目に対して八味地黄丸や牛車腎気丸、充血に対して苓桂朮甘湯、結膜炎や角膜炎に対して葛根湯、急性結膜炎、フリクテンや翼状片に対して越婢加朮湯等があるこれらは製薬会社により保険適応が異なります。全社共通はアレルギー性結膜炎に対する小青龍湯だけです。会社により適応病名が違うと縦覧突合時代には大変です。コンピューターもついていけない漢方の病名です。「治せる医師をめざす・・・・・・」という漢方の本の分担分が原稿完成までもうすこしです。局所と全身どちらに視線を向ければよいのでしょうか?眼科漢方は難しい。

しもやけと漢方薬

今年は早くもしもやけの方がお越しになっております。しもやけ治療は西洋医学ではヘパリン類似物質の外用とユベラとか循環改善薬の組み合わせです。漢方薬で体を温めることをお考えいただいてはいかがでしょうか?漢方薬にしかない味が出るのがしもやけです。温める働き例えば補腎陽、循環改善つまり瘀血の改善、気の流れの改善など西洋薬にはない体を温めるという面白い働きがあります。養生としては香辛料を多くとり果物のように水分が多いものを控えることです。毎年冬になるとしもやけ用の漢方を希望する或いはしもやけ用の漢方への変更を希望する方がおられます。長い方は十年くらい続いている方もあります。昨日朝から空腹で特定健診の方が来られるというので暖房をつけて帰りました。今朝、暖房の室外機を見ると凍っていました。本当に明け方冷えているんですね。

ツムラの柴陥湯

ツムラにしかない漢方薬は多い。漢方エキス製剤にはツムラしか発売していないものが多い。ツムラにしかない漢方エキス製剤の一つが柴陥湯です。きっとあまり売れていないと思います。柴陥湯は小柴胡湯の加減法です。小柴胡湯というと患者さんからやめてくれとか大丈夫かと言われた時代がありました。肝炎イコール小柴胡湯の時代は終わりました。風邪に使うと小柴胡湯は魔法の薬でした。わたくしが結核療養所で働いていたとき小柴胡湯を結核患者さんに使う臨床試験がなされていました。結果は分かりませんが今振り返るとなかなか厳しいと思います。中医学でいう陰虚の典型例が慢性化した結核です。黄㬎は冷やして乾かす薬です。陰虚は明らかに悪化します。柴陥湯は小柴胡湯に瓜呂仁と黄連を加えた処方です胆が切れにくい咳に使うとされています。千福先生はCVAつまり咳喘息に柴陥湯を用いて効果があったと日本東洋医学会総会で報告しています。柴陥湯のカギは瓜呂仁と千福先生は考えたそうです。瓜呂仁はステロイドのような作用があるそうです。柴陥湯は黄連と黄芩が入る連剤であり、柴胡剤でもあります。柴胡も黄連、黄芩もすべて冷やすとともに乾かせる薬です。CVAになぜ柴陥湯かと思いますが発想が素晴らしいと思います。痰が絡めば燥性の生薬が多用されているのもわかります。今日、千福先生に質問させていただきました。