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お屠蘇

お屠蘇気分で有名なお屠蘇は漢方薬です。お屠蘇と言ってもわからない人が増えた今日この頃です。お屠蘇に入っている生薬は会社により違うようです。松浦薬業さんのものには陳皮、おけらこと白朮、桔梗、浜防風、山椒、桂皮だそうです。松浦薬業さんの屠蘇散は300mlのお酒に一晩つけます。更に元旦の朝家族そろってのみ、家族の健康・幸せを祈ります。お屠蘇は正月の薬酒です。「迎えた一年家族に大病・大過がないように、笑顔で今年も迎えられるように」の願いがこもったものです。わたくしの実家の寺院でも檀家さんにお配りしています。飲酒ですので未成年者は舐めるくらいでしょうか?三国志の時代の中国の名医華佗が作った処方とされています。正月のために創られたものではありません。そのあと各所で違う処方が作られました。「蘇という鬼を体外へ追い出し屠るための薬」です。家族のみならず近隣の方の健康を願ってお屠蘇を飲むそうです。

牡蠣

カキの貝殻が牡蠣と書いてボレイと読みます。柴胡竜骨牡蠣湯と桂枝加竜骨牡蠣湯に竜骨・牡蠣は配合されています。柴胡加竜骨牡蠣湯には本来鉛が入っていたそうです。今の時代「カキ」といえばノロウイルス感染症が頭に浮かびます。二枚貝の代表がカキです。ぼれいにはカルシウムが多く含まれています。したがって重鎮安心薬に分類されます。安中散は大正漢方胃腸薬に含まれています。安中散と芍薬甘草湯で大正漢方胃腸薬です。安中散のなかのぼれいは制酸作用を期待しています。ぼれいの生薬としての作用は鎮静作用、収斂作用、軟堅散結作用そして制酸作用を有します。昨日、赤穂の生ガキをおそらく10年ぶりくらいで生で食べました。ノロウイルスが怖くて食べたことが最近ありませんでした。おいしかった。保健薬局でこの話をしたら女性薬剤師からそんなこと思って食べたらおいしくないでしょうと言われたがとてもおいしかった。とてもおいしかった。医者の不養生と言われず良かった。かきは漢方ではぼれい肉というそうです。かきはMILK OF CALCIUMです。

原稿〆切り

原稿を二つ書くことを頼まれている。一つは兵庫県保険医協会の新聞、もうひとつは分担で書く眼科漢方の2ページ見開きの原稿です。保険医協会の新聞には私の意見がよく掲載され今年話題の「いじめ問題」を昨年から取り上げはじめいろいろ意見を述べさせていただいております。ることをこれにより多くの開業医の子弟がいじめられた経験を持つことを知るところとなりました。先日患者さんに言われた。「先生の子やからいじめられた」うん。目立つからだそうです。しかし、それなら寺の子でかつ病院の子のこのわたしはもっといじめられても?時代が違いますね。今回は何を書こうか?夢前町の産廃問題はもっと詳しい医師の方がおられるし何を書こうかと迷っている。先日も急病センターで他科のいしから「よく書いてるね」「読ませてもらっているよ」恥ずかしいと思いながら「ありがとうございました」とお礼の言葉を述べた。私の大学の大先輩には眼科医で作家の「寒川猫持」先生がおられる。人生50年と考えれば後は余分な人生です。法事や当直で日曜祝日もなくよく働きました。何か世の中の役に立てればと僻地に当直のお手伝いに行ったりしました。今回は何を書こうか?兵庫県下の多くの医師の目にさらされ結構読まれている。時期的にはいじめ問題でしょうか?誰がいついじめられても恐喝されてもおかしくありません。弱者の方の味方に慣れる文章を書きたい。一方、眼科漢方の原稿はEBMがなく大変苦戦です。困った困った。

眼精疲労と漢方薬

「眼精疲労と漢方診療」について書くよう依頼を受けていろいろ調べてみました。調節性眼精疲労、筋性眼精、不等像性、症候性、神経性の5つにわかれます。そのなかで疲労眼精疲労で幅を利かせているのが調節性眼精疲労です。老眼で疲れる、斜視で疲れるなど多くの疲れを調節性眼精疲労といいます。普通に考えますとまず、めがねが適切か?コンタクトレンズが適切か?能力以上の仕事をされていないか?等西洋医学的診察と治療を優先する。原因から考えると視器に関するもの、外環境に関するもの、内環境あるいは心的要因に関するものの3つにわけられる。視器とは目そのもの、外環境とはクーラーやVDT、生体のサーカディアンリズムなどです。内環境とはむちうちや頭蓋内疾患心的要因とは虚弱体質、神経質、受験生などです。まずは漢方薬ありきではありません。まずは原因の究明です。眼精疲労は内科、産婦人科、脳神経外科、耳鼻咽喉科などいろいろな診療科の病気と関係することもあります。漢方薬は最後だと思いますが如何でしょうか?しかし、依頼を受けた以上書かなければいけません。

百合

漢方の世界では百合をびゃくごうと読みます。百合が入った唯一のエキス製剤をご存知ですか?びゃくごうが入っているのは辛夷清肺湯のみです。しんいはこぶしです。百合や「こぶし」が入った辛夷清肺湯はさぞやうまいと思われるかもしれませんがたいていの患者さんは「まずい。飲めない。」といわれます。「びゃくごうびょう」をごぞんじですか?百合が効果ある病気のことです。「孤惑の病」ともいいます。ノイローゼ、うつ、自律神経失調症などがびゃくごう病、「孤惑の病」に該当します。金匱要略に「寡黙でしゃべらない」「目無りたがらないが眠れない」「寒気や熱感がはっきりしない」との条文の記載があります。辛夷清肺湯はなぜ清肺湯か?はなづまりつまり蓄膿の薬です。肺は鼻に開竅するといいます。辛夷は鼻を開くすりです。そこで、辛夷清肺湯が誕生したのでしょうか?びゃくごうは潤肺止咳、寧心安神作用があります。昔の中国は四文字熟語が大好きです。最近鼻が詰まるという人は多いような気がするのは気のせいでしょうか?

冬の養生と冷え症

漢方薬の処方を求めてこられた方から養生について聞かれました。冬場の「冷え症の体質改善」についての養生法です。冬場の冷え症の体質改善には温腎陽と補腎陰が基本です。腎陽とは全身の陽気の源です。そのためには、まず、果物は控えることです。水分が多く冷えにつながります。沖縄でよくとるものやたべるものには冷やすことが多く、北海道でとれるものや食べるものには体をあたためるものがおおい。つまり、ジンギスカンのようなヒツジの肉は体を温め、豚肉はその逆です。果物は水分が多く冷やすものが多い。果物は控えるべきです。また、果物は血糖上昇作用が大きい。冬は24節気の立冬から立春のまえまでです。陰が盛んで陽が衰える時期です。冬には腎が活性化するようになり正気が蓄えられる。腎は醎味につながります。塩辛い味がが醎味です。塩辛い味は現代医学の腎臓では悪い味です。中国の昔の人は醎味は腎を調節すると考えました。冬にはクルミ、エビ、ニラ、ゴマ、ホタテで腎を補うことが大切です。お茶はできるだけ発酵させたものをお勧めします。紅茶やウーロンチャです。保存食は塩分が多く昔は塩辛いものを多く摂取する人が多かった。そこで醎味について思いついたのだろう。

紫蘇

紫蘇が漢方薬に使われていることをご存知ですか?紫蘇の葉は漢方エキス製剤に用いられている部位です。漢方エキス製剤の参蘇飲や香蘇散の蘇は紫蘇からきています。紫蘇の葉は辛温解表薬です。つまり風邪薬です。紫蘇の茎は栄養素の通り道です。つまり、消化管の気を巡らし理気剤として使われます。紫蘇の種は紫蘇子と言います。紫蘇子は種がおちる様子を想像させるものです、上向きのベクトルを下げる働きつまり咳や便秘に応用されます。漢方エキス製剤にはありませんが三子養心湯という処方があります。紫蘇の根は人体の中では根本です。つまり、先天の本を想定するものです。薬用は主に赤い紫蘇が使われるようです。蘇葉の効能は発散解表、蘇梗の効能は理気・安胎です。青紫蘇は大葉と言われます。刺身のつまや薬味として用いられます。

子供の心身症と気の漢方薬

親や周りの大人の愛情がすべての気を生み出すもとになっています。ストレス反応は子供の場合、身体症状やテストの点数の結果として現れやすい。手に汗握るこどもには四逆散、不安がりやさんでで泣き虫さんには肝麦大棗湯また、きれる、多動症には抑肝散加陳皮半夏が提唱されています。四逆散、肝麦大棗湯、抑肝散陳皮半夏これらは気に働く漢方薬です。気剤と日本の漢方では言います。」元気を患者さんからいただきそして及ばずながら差し上げる。漢方診療はコミュにケーションの場です。これらの処方は一例です。しかし、根本にある原因を解決することが大切です。しかし、すべて精神科へ紹介しても子供は診てませんというところも多い。うつ病の方が多すぎてとても対応できなのでしょう。また、児童心理というのは小児科と精神科の中間のようなイメージを持つのは私だけでしょうか。ただ、精神の薬に抵抗がある人には漢方薬は優しい薬のイメージを持っていたただけると思います。少し前に太宰治の「走れメロスは人権ですか」との検索を受け私のブログにたどり着かれた方があります。多い区の教育委員会で「走れメロス」が取り上げられていることに驚きました。やる気、勇気、根気そして元気この4つが今の子育てに必要不可欠な4つの気です。気はENERGYです。詳しくいえばVITAL ENERGYです。四つの気のうち一つでも欠けると子供が子供ではない日のような気がします。最近思いついた4つの気です。

月経前緊張症と漢方薬

月経前緊張症とは月経前だけ精神身体症状を呈する病態です。漢方薬が有効です。約半数の方に何らかの症状がみられます。0.05パーセントの確率で重症例があるそうです。駆瘀血剤が使われることがおおい病態です。瘀血と血瘀という漢方用語があります。一般には日本漢方では瘀血といいます。血瘀とは血の運行が滞る状態です。滞ってできた産物を瘀血といいます。血液どろどろの状態を瘀血といいます。気滞瘀血、気虚瘀血等気の異常と密説な関係にあります。寒いと瘀血になるこれを寒凝瘀血という。血の運行に関係するのは心、肝、脾です。心は推動作用、肝は蔵血作用、脾は統血作用を有します。血液の運行はこの3つが働きます。月経により血が排泄されます。そのまえということは「瘀血」の蓄積した状態です。排泄経路として漢方は汗、尿、大便、嘔吐の吐方という方法が考えられます。現代では吐法というのは毒物を摂取した時しか考えられません。血瘀を改善するには便通の改善が一番です。少なくとも固くない大便の排泄が有効だと考えます。大便とともに瘀血が排泄されます。

便秘に漢方薬

便秘の新薬が出るそうです。薬屋さんが売り込みに来ましたが私のところに来られる方はみんな漢方薬を求めてこられますと断りました。漢方薬の妙味は腹圧や腸蠕動が弱い腸蠕動などの機能性便秘です。刺激性下剤はセンノサイドが入るという点では西洋薬に類似する。気を巡らす六君子湯、陽をめぐらす大建中湯、蠕動亢進作用がある芍薬の入った方剤例えば桂枝加芍薬湯、などたくさんのほうざいが存在します。芍薬には過緊張の平滑筋を弛緩し、緩んだ平滑筋を過度に緊張させる作用があります。当帰には潤腸作用があります。最近は赤字になるといわれて使っていませんが薬価収載「ウチダのコウイM」やマルツエキスも貴重な戦力です。適当な甘さを持っています。甘いものを適当に摂取すると補気します。補気しなければ理気できません。コウイMはうるち米からできている貴重品です。子供と老人そして虚弱体質の若い女性、アトピー性皮膚炎患者さんの体質改善には漢方薬で流れをつけて気を巡らせることです。アトピー患者さんは不登校になったり気が大変滞っています。漢方薬はエビ遺伝すレベルが低い。漢方単独で治してくれとかコントロールしてくれというのは極論です。アトピーならスキンケアをプロアクテイブ療法で続け、気管支喘息なら吸入ステロイドを用いることから始め、気道のリモデリングを予防することが大切です。