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漢方薬と腎

漢方薬の世界の腎は腎臓ではありません。腎は泌尿生殖器・内分泌系を全体的に表す用語です。耳や髪の毛、下半身や腰、納気といい息を吸うこと、成長や骨代謝のホルモン分泌に影響しカルシウム代謝という点で歯にも関係します。症状は頻尿、髪の毛の異常、耳鳴り、低身長など遺伝子とも関係します。じんはgeneです。geneは遺伝子です。しゃれのつもりです。漢方の世界では五臓六腑と言います。腎は五臓に属します。膀胱は六腑に属します。腎は尿を作ります。膀胱は尿を蓄えます。少し、腎は腎臓とは異なります。腎の薬は保険適応があるのは六味丸、八味地黄丸、牛車腎気丸があります。有名な右帰丸、左帰丸は保険適応ではありません。

姫路おでんとしょうが

生姜醤油で食べるのが姫路おでんとしてB級グルメとして脚光を浴びています。確かに秋祭りで神輿をかたいで生姜醤油のおでんとお母さんが炊き出したおむすびをおいしくいただきました。からしで食べることはありませんでした。しょうがには食中毒防止作用があります。さしみについています。ジンゲロールとショウガオールの働きです。さらにはからだをあたためます。おなかを温めます。しょうがをスライスして鍋をするととても温まります。中国人中医師におそわりました。吐き気止めにもなります。漢方薬の半夏とショウガはセットで用いられます。干した生姜を乾姜と言います。スライスして干した生姜を鍋に入れると本当にポカポカします。にくのなかでからだを一番温めるのは羊の肉です。北海道でジンギスカン鍋というのはあってます。沖縄で豚肉というのはまたあってます。

眼精疲労と漢方薬

眼精疲労にクラシエ桂枝加竜骨牡蠣湯が適応があることを最近知りました。しかし、眼精疲労にはまずめがねが正しくあっているかどうか?これが大切だと思います。眼精疲労の漢方薬をくれという人はあまりおられないことを再認識しています。むしろ、ドライアイを東西医学どちらでもよいから改善してほしいというひとが多い。ムコスタ点眼液も一年たち12月から長期処方可能になります。一つ疑問です。肉体的な疲労に参耆剤は使える。眼精疲労を主訴とする人には参耆剤は使えないだろうか?目には肝の薬がよい。柴胡がはいっているなら加味帰脾湯が浮かぶ。不眠症などに用いる。目には肝の薬というなら柴胡加竜骨牡蠣湯もよいはずである。なぜ柴胡加竜骨牡蠣湯は眼精疲労の保険適応を取得しなかったのでしょうか?日本人の心と体は冷えてしまい桂皮つまりシナモンが必要なのでしょうか?

眼科漢方とEBM

EBMはevidence based medicineの略です。眼科漢方でEBMがあるものは「アレルギー性結膜炎に対する小青龍湯」ぐらいと思っていました。アレルギー性結膜炎に対する小青龍湯の有用性のEBMはダブルブラインド試験で確認されたと思っていました。しかし、実際は小青龍湯にはアレルギー性結膜炎のEBMはありませんでした。びっくりです。眼科は外科です。眼科で手術すると利益を生みます。漢方なんていくら勉強したって利益は生みません。しかし、患者さんに喜んでもらえることがあります。眼科にも保険適応の漢方薬はあります。眼科で縦覧突合検査を受けて絶対に査定されない漢方薬は結膜炎に葛根湯、先ほどのアレルギー性結膜炎に小青龍湯、眼精疲労にクラシエ桂枝加竜骨牡蠣湯、翼状片にジュンコウ越婢加朮湯の4処方です。先日お話ししました分担の本を書くのに調べてわかったことですがジュンコウ越婢加朮湯のみが翼状片の保険適応を有しています。クラシエ桂枝加竜骨牡蠣湯のみが眼精疲労の適応を有しています。眼科漢方や漢方眼科の道は険しい。そりゃアレルギーの方が有効な場合が圧倒的に有効です。アレロックやステロイド含有のセレスタミンを漢方単独治療にしたことは少なからずある。

眼精疲労

眼精疲労の患者さんが来られたらまずめがねがあっているかどうか。老眼年齢かどうか?老眼年齢なら今より度数がゆるいめがねを勧める。遠近両用をお使いなら緩い目のめがねを勧める。遠近両用は万能めがねではないことをお伝えし単焦点めがねを勧める。それも室内用の緩いめのめがねです。何でも見える魔法のめがねは存在しません。めがねををかえてだめならドライアイとかの目の治療になります。シリコンのプラグは怖いからキープテイアをすすめる。考えてくるという人はたいてい二度と来ない。世の中そんなもんです。眼精疲労を漢方でなおしてというのは特殊な方です。何処からクラシエ薬品の桂枝加竜骨牡蠣湯が眼精疲労に有効ということになったのかさっぱりわかりません。しかし、ビタミン剤も眼精疲労にはほとんど無効でしょう。だから眼科ではビタミン剤は処方できません。案外気持ち良くなるのはアイマスクです。あっためると結構気持ち良くなりますよ。ドラッグストアで売ってます。眼精疲労で受診して緑内障ということもあります。眼底検査もしっかりしましょう。眼底写真で緑内障は発見する時代です。

冬の食事

寒くなってまいりました。冬はエネルギーを蓄える季節です。漢方薬の世界で補腎といいます。食べ物でいうとエビ、牡蠣、ブロッコリーなどをとる補腎になります。ねばねばぬるぬるや黒いものを食べることも補腎です。冬になると動物は冬眠しないといけません。動物もエネルギーを蓄える時期です。黒い食べ物って意外とありません。黒砂糖、黒糖焼酎、丹波の黒豆、黒納豆、黒キクラゲ、黒ゴマ、黒豆、海藻、こんぶ、しいたけ、ひじきなどでしょうか?案外少ない。ねばねばぬるぬるの食べ物にはとろろ、めかぶ、なっとう、おくらなどがあります。腎は五行では五情という立場で考えると「驚・恐」驚く、恐れるに匹敵します。受験前は誰でも不安になります。しかし、今の時期に不安いっぱいで一回試験が悪いと食事がとれないといううちの子はかなりの腎虚かもしれません。しかし、聞いていると枕が涙でびっしょり濡れる女子児童もいらっしゃると聞きみんな中学受験では悩むのでしょうと感じました。話が食事から離れてしまいました。いつものことです。他に、補腎の食べ物はブロッコリー、エビ、マグロ、ナッツ、杜仲ですが杜仲は漢方薬に使うのは枝です。杜仲のお茶は葉っぱです。ちょっと違います。こんなこと何処で勉強したかというと東京医療福祉専門学校です。中医学講座の薬膳を和田先生に学びました。

むくみと漢方

足がむくむ。心臓や腎臓は問題ない。漢方で何とかしてくれ。利尿剤は嫌。便秘になる。漢方薬でむくみをとるには①尿をだす、②便を出す、③汗をかくこの3つの経路があります。その3つを兼ね備えている処方が防風通聖散です。1グラムの麻黄で汗をかく。大黄で大便を出す。滑石で尿を出す。この薬は和漢箋としてOTCでも発売されていますが高い。五皮飲というせんじ薬があります。姫路おでんでおなじみの生ショウガの皮を始め皮を煎じるというものです。小太郎の九味檳榔湯も面白い。聖光園細野診療所では九味檳榔湯合五苓散という組み合わせで使われるそうです。九味檳榔湯は下向きのベクトルの薬で構成され二便を出す方向にベクトルが向いている。後は気や陽を動かしむくみを解消するという方法です。理基剤を用います。その代表が九味檳榔湯です。陽を動かすとは温めることです。附子末や附子錠を加えるのが手っ取り早いでしょう。くれぐれも心臓や腎臓の検査をしっかりなさってから漢方薬はお飲みください。

カレーライスは薬膳

カレーライスと漢方薬には深い関係がある。カレーの黄色はうこんの色です。カレーにはたくさんの漢方が使われています。色は黄色です。サフラン、ターメリックは血流を改善する。更にはストレスを発散する理気作用があります。香りはシナモンは漢方では桂皮、丁子はクローブの漢方名があります、体を温め元気にする作用があります。辛味はペッパー、こしょう、ジンジャーがあります。いずれも胃腸を温めおなかの中から温めます。ウイキョウはフェンネルです。理気作用によりストレス発散します。ガーリックは滋養強壮作用があります。月桂樹はローレルです。おなかの張りを解消します。ニンニクは滋養強壮作用があります。体を温める為にはネギ、玉ねぎ、ラッキョウなどを配合するとよいでしょう。もっと汗がでます、カレーライスを食べる汗がたくさん出ます。汗をかきすぎると脱汗という状態になり却って冷えます。かぜのもとになります。

下肢のむくみ

有名な循環器の医師にかかっている人が漢方で足のむくみを改善してほしいと遠くからわざわざわたくしのところにお越しになった。第一診察日には舌診で瘀斑や瘀点を認めた。サフランを処方に加えました。百貨店に行くと大変高価なサフランの花が保険で処方できるのです。サフランは一日当たり1グラムが限度とされています。不眠症の方に安神作用を期待して投与することがあれば、瘀血や血瘀のひとに投与すると血液サラサラになります。九味檳榔湯と防已黄耆湯を処方しました。九味檳榔湯は理気剤です。すべてが下向きのベクトルです。防已黄耆湯は黄耆であたため理気利水します。さらには静脈瘤や瘀斑などから理気や活血するという発想です。さらに加えるなら麻黄と石膏で粛降作用で内川に水を引き込むことを考えています。水を動かすにはエネルギーが必要です。温めることです。附子を加えるのも一つの作戦かもしれません。麻黄や附子なら麻黄附子細辛湯や小青龍湯加附子も面白いかもしません。私の漢方は次なる手段を常に患者さんのために考えています。

久しぶりの原稿依頼

日本で唯一の中医学雑誌の眼科編をだすのでと依頼をいただき忙しいと理由で折角の出筆依頼断ってからは依頼はなかった。漢方のムック本をだすので眼科の分野で結膜炎と眼精疲労の漢方治療について書いてほしいとの出筆依頼状が届いた。眼科の漢方は難しい。眼科の漢方は全身とかけ離れた状態だからです。腹診とはまったく一致しない。眼科の漢方薬は効果判定も難しい。眼科の漢方について書くか断るかの返事の期限は10月19日締切と書いてある。原稿は12月25日締切と書いてある。著明な先生のお名前の中に私の名前がありラインマーカーが引いてある。結膜炎のところは越婢加朮湯と清上防風湯、眼精疲労では柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蠣湯が挙げられています。「なるほどと思う」ところと「ちょっと違う」と思うことがあります。特に眼精疲労の漢方薬に関しましては保険適応上はありません。眼科領域の漢方はむずかしい。手術やレーザーも難しいが眼科領域の漢方はむずかしい。なぜなら、薬は血液網膜関門があり網膜へは入っていきません。引経薬というものがあります。引経薬は目の中へと薬を誘導します。肝は目に開竅する。肝経の薬は目の薬として用いられます。ips細胞が期待されるような領域には漢方薬は全く無力だからです。処方は変えてよいとのことですので変更します。20人以上の分担出筆です。文末は「である体」でお願いしますと記載されていました。確かに、20人が好きなことを書いてまとめるのは大変です。